トイプードル 名前は「ころん」と 

ペット

家に戻ると、
選んだはずなのにどこか落ち着かない気持ちが
まだ胸の奥でふわふわと揺れていた。

玄関を閉めた瞬間から、
あのつぶらな瞳が何度も思い浮かぶ。

「本当にあの子でよかったよね?」

そう問いかけるように、
夫婦でテーブルを囲んで向き合った。

今日見た3匹の姿を、
ひとりずつ思い返す時間が流れる。

小さくて愛らしい2匹。
抱いた瞬間にぎゅっと腕の中に収まるようだった。

そして――
ほんの少し大きくて、ふわふわの手触りを持つ子。

人懐っこく寄ってきたわけではない。
ちぎれるほど尻尾を振ったわけでもない。

でも、静かにこちらを見つめる
まっすぐな瞳だけが、不思議と離れなかった。

「やっぱり、あの子だよね」

そのひと言で、途端に胸の奥がすとんと落ち着いた。

どんな名前が似合うだろう、と
話しているうちに笑い声が増えていく。

候補がいくつも飛び交い、
ああでもない、こうでもないと考えているうちに
ふわりと言葉が降り立った。

「ころん、ってどう?」

ふたりの目が自然と合った。
まん丸で、ころんとした姿。
抱いたときのあの温かさ。

その名前がぴたりと重なった。

「ころん、いいね」

その瞬間、まだ家にはいないはずの小さな存在が
そっと部屋の真ん中に座ったような気がした。

名前を呼んだだけで
すでに家族になったように思えた。

――こうして、わたしたちの家族には
新しい名前と小さな物語が宿った。

ころん。
これからよろしくね。

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